タンパク質凝集体評価に最適な粒子計測装置 Accusizer

250μL程度の少量サンプルで、0.15~150μmと幅広い大きさの凝集したタンパク質のサイズと
濃度(個数)の測定が可能!

タンパク製剤注射液中のタンパク質凝集体は人体に有害な免疫反応を誘発する場合があります。

これまで大きなサイズのタンパク凝集体の測定は可能でしたが、0.15~2μmの領域の小さな凝集体の定量は困難でした。

動的光散乱(DLS)を用いることで、タンパク凝集体の存在を検出することは出来ますが、凝集体の絶対濃度(個数)の情報は得られません。

粒子サイズ別の個数をカウントするSingle Particle Optical Sizing(SPOS)を用いると、サイズと凝集したタンパク質の濃度(個数)の両方を測定することが出来ます。

 

SPOSはタンパク質凝集体測定に最適な評価技術と言えます。

→個数カウント方式粒度分布の詳細はこちら

タンパク質凝集体の分析がバイオ医薬品の開発に重要

バイオ医薬品は、抗薬物-抗体反応により、生体に作用します。

溶解状態のタンパク質が薬効をもたらすとされていますが、同時にタンパク質凝集体およびその粒子もまた免疫反応の原因となるといわれています。

バイオ医薬品の製造から使用までの過程において、注射用タンパク質製剤は、一般に以下のような手順をたどります。

1. タンパク質の合成と精製

2. 出荷時の安定性向上のための薬剤の凍結乾燥

3. 注射前の薬剤の再溶解

凍結乾燥はタンパク質を安定化して輸送できる点でメリットがありますが、再溶解後にきちんと溶解状態に戻るかは明らかになっていません。

このプロセスの結果、凝集タンパク質がある場合、治療の過程において患者の免疫反応を誘起する懸念があります。

凝集の度合いを測定する簡便な手法の開発により、タンパク質の再溶解時のサイズと濃度のヒストグラムデータを得られれば、製造プロセス中の薬剤スクリーニング能力が向上します。

この分析により製剤を再溶解しても凝集することなく、多量の溶解タンパク質が得られる製剤を開発できます。

 

測定原理

Accusizerが採用している光遮蔽法は一般的な粒子計測方法です。

この手法はUSP-788、注射剤中の不溶性微粒子試験や、USP-729、脂肪乳剤の粗大部分を測定する試験で用いられています。

ただし、これまでの光遮蔽法は一般に1μm付近に測定限界があり、凝集タンパク質はこの測定限界よりもさらに小さい粒子であり検出不可能でした。

PSS社のAccuSizerFX Nanoは、より小さく、かつ高濃度のサンプルを測定するために収束ビームを採用することで0.15~0.6μmを測定可能になり前述の問題を解決しました。

これまでのセンサーと組み合わせて使用することで、0.15~150μmの範囲にある凝集したタンパク質のサイズと大きさを一度に測定可能になりました。

これらのセンサーを250μL程度の少量のサンプルで測定するために改良されたシリンジインジェクションサンプラーに搭載する事で、タンパク質製剤の注射剤中の微粒子を測定するための USP-787 にも適用可能となっています。

 

測定事例

測定事例1: IgG Before and After Filtration

免疫グロブリンG型(IgG、~150kDa)を1%でリン酸緩衝液(PBS)に溶解しました。

このサンプルを希釈なしにAccuSizerFXNanoで測定した。

その結果をFig.1に示します。計測した粒子の総個数は109,343個、濃度は9.7×108個/mLでした。

可溶化タンパク質のサイズを測定、凝集したタンパク質のサイズを見積もるため、同じ溶液をPSS-Nicomp380動的光散乱(DLS)システムにて測定しました。(Fig.2)

ピーク#1(本来のタンパク質):14.6nm、52%の強度(総重量の99.6%)、ピーク#2(凝集した粗大粒子部分):395nm、48%の強度(総重量の0.4 %)が見られます。

FX-Nanoにより、200~500nmに存在する凝集体の粗大部分に対して、より詳細な研究が可能になります。
 

次にIgG溶液を0.2 μmのフィルターに通し、AccuSizer FX-Nanoで再度測定しました。

フィルターを通す前後の結果をFig.3に示します。PBSを測定した結果も黒で同じ図に示しています。

フィルターを通すことで粒子濃度が9.7×108 /mLから3.1×108 /mLに減少しています。

FX-Nanoシステムを用いることで凝集タンパク質の粗大粒子濃度の減少をはっきりと視覚的に確認することができます。

測定事例2: IgG Before and after Incubation

IgGをインキュベートした場合にタンパク質が受ける影響を見るための実験結果を示します。

Fig.4はIgGの個数分布の推移を示したものです。インキュベート前、37℃で1時間または6時間インキュベートした後のサンプルをFXシステムのみで測定しました。

0.7μm以上の領域について、9.77×105/mL、7.75×105 /mL、5.08×105 /mLと粒子数が減少しており、インキュベートにより凝集が減少しているのは明確です。さらにこのデータの粗大部分の拡大をFig.5に示しています。

baccufig4.jpg  baccufig5.jpg

 

測定事例3: Protein under Different Storage and Processing Conditions

次にあるタンパク質群を測定した結果を示します。

FX-Nanoで測定し、粒子サイズとタンパク質凝集体の濃度を測定しました。

バッファーと3種類の調製状態の異なるタンパク質溶液をTable1にバッファーとタンパク質溶液について、粒子径0.19μm以上の粒子濃度を示します。

またFig.6、Fig.7には、それぞれ粒子数/サイズの分布と粒子積算数/サイズの分布を示します。

baccufig6.jpg  baccufig7.jpg

 

Fig.8とFig.9に同じタンパク質凝集体のデータでY軸をlogスケール表示にした図を示します。logスケール表示により、幅広い濃度分布の測定結果を比較することができます。

baccufig8.jpg  baccufig9.jpg

 

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