第三回 粒子間に働く凝集力とそれを表すポテンシャル曲線の関係について

スラリーなどの微粒子濃厚分散系を実際に扱っておられる方々の最大の関心事は、分散・凝集状態を如何に制御するか、すなわち、製品の品質や生産性の向上につながる分散・凝集状態の把握と再現性高くその状態に調製する手法の確立である。

なぜなら、前回示したような凝集粒子や粒子集合体を完全になくして一個一個の微粒子に分散させれば、必ず良い製品になるとは限らないからである。

そこで今回は、1回目に説明した「分散性」の制御について考えてみたい。

(「分散安定性」の制御については第四回で説明する予定である)


「分散性」のパラメータは粒子-溶媒間の界面エネルギーや濡れ性であり、粒子同士の 「凝集力」と表裏一体の関係にある。

粒子間の凝集力は、DLVO理論の中では主に分子間力(London-van der Waals力 )で説明されることが多いので、まずはポテンシャル曲線を用いて分子間力を説明してみよう。


凝集力に関係するのは、上図で負のポテンシャル領域で示している部分である。

したがって、負の絶対値が小さいほど、すなわちゼロに近いほど凝集力が弱く、より弱い力で解こうすることができる。


次にLondon-van der Waals力のポテンシャル曲線と電気二重層に由来する静電的斥力のそれの総和曲線が全相互作用と記した曲線である。

粒子間距離の近い位置でprimary min.(1次極小)があり、少し距離が遠くなった位置でsecondary min.2次極小)がある。

負の絶対値が大きいprimary min.はより凝集力が強く、凝集粒子を描いた次の図中、粒子同士が直接接触した場合に対応する。

一方、secondary min.ではポテンシャル曲線の位置もゼロに近くなり、凝集力が弱いことを示している。

凝集状態も粒子間に若干距離があり、粒子間に分散媒の水分子や分散剤などの高分子が存在していることを示唆している。

したがって、実際のモノ作りではsecondary min.を如何に調製するかが鍵となってくるものと思われる。


次回は、「分散安定性」の制御について紹介します。


DLVO理論・・・コロイド粒子の分散・凝集現象を、粒子間の電気二重層に由来する浸透圧斥力とLondon-van der Waals力の総和である粒子間引力のバランスによって予測できると説明した理論。